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退職金制度の問題点

 日本企業の退職給付制度はすべて給付水準を企業が保障する確定給付型であった。確定給付型は企業が社員のために積み立てをして、勤続年数によって支払う年金額が最初から約束されている。企業年金は公的年金である高齢厚生年金の一部を国に代わって支給、さらに企業年金を上乗せする制度で従業員の手厚い老後資産形成という目的と労働生産性が低いとされる若い時の低い賃金の後払いとしての目的がある。

 上乗せされる企業年金部分は、確定給付型となっており、あらかじめ決められた予定利率で企業が積立・運用するため、予定利率が高いほど企業が積み立てるお金は少なくて済むのだが、好景気下で設定された高い予定利率が実情に伴わず、利率が大きく下回る企業が続出した。積み立ての不足分は企業が補填しなくてはならず、経営をひっ迫する事態となっているのだ。2010年に起きた日本航空の年金問題が代表的である。経営再建がうまくいかず年金債務が膨れ上がり現役社員で5割、OB社員で3割減額された。また後払い賃金としての機能も危うくなっている。退職金は会社に長く勤めれば務めるほど多くもらえる年功的な制度である。しかし、今では企業にとって重荷となっている。団塊の世代が一斉に定年退職を迎えるにあたり、多額の退職金の支払いに耐えられないのではないかといわれている。働く側としても高度経済成長期やバブルの時代では終身雇用が一般的であったので、退職金は魅力的なものであったが、グローバル化やIT化によって人が流動化している現代では退職金の恩恵を受けることが少なくなっている。また確定給付型は給付されるまでは企業のお金であり倒産した場合、一切支払われないこともあり、老後の資金形成の責任を企業にすべて任せるというのも問題視されている。

 そこで近年導入されているのが確定拠出型のものである。確定拠出型の制度では積み立て資産が各加入者の個人勘定で管理され、資産運用が加入者個人の責任で行われる。これは、従来の確定給付型の問題点の多くをカバーしている。従業員が運用商品を選ぶので、会社が運用責任を負わずに済むが、従業員の資産運用に関する知識・関心はいまだに乏しいという問題がある。しかし、確定拠出型は転職時に資産を持ち運び可能で、加入期間を合算することができ、受取額や運用状況も自分で常に確認できる。このように、拠出した時から従業員の財産であるということは雇用が流動化している現代に適しているといえる。