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日本型企業統治の長所

 近年では、外国人役員を登用する企業も増えている。例えば、フランスのカルロスゴーンは業績が低迷している日産のCEOに2001年に就任し、人員整理や無駄な工場などを閉鎖するなどのコストカットをして一時黒字になった。この背景には日本型企業統治への批判がある。日本経済が好調であった1980年代まで日本型企業システムは国の内外から、日本経済発展の重要な要因として高い評価を得ていた。しかし、1990年代以降の長引く不況の中で、日本型企業システムへの評価は著しく低下することとなる。

 

 アメリカ、イギリスの企業と同様に日本の企業も株式会社であり、主権者は株主であるのだが、法律的仕組みに沿うものではない。まず日本の株式会社の大株主の中心は株式の相互持合などによって形成される安定株主である。安定株主は基本的に経営者に友好的であり経営に関して口出しをしない「物言わぬ株主」である。このような仕組みによって株式市場から相対的に独立した経営が可能となっている。また、経営者は内部から昇進した従業員の代表という意味合いが強い。取締役会の影響力は弱く、法律が規定するような社長の監視役を果たすのは難しい。

 

 1990年代の業績悪化、不祥事の原因として企業統治の観点から、経営者に対する監視が甘いことが不祥事につながり、抜本的な改革も進めることができず過剰雇用、過剰設備、過剰債務の問題がなかなか解決できないとされた。日本型企業統治の短所はたしかにアメリカ型企業統治を導入することによって解決することができるが同時に長所もなくしてしまうことになる。重要なのは長所と短所は表裏一体であるということで、日本型企業統治の長所は一言でいうと「長期的な視野からの経営が行われる」ということであり、長期を見据えた投資行動、従業員の一体感を強め、技能形成を高める雇用慣行、長期的な協力関係にある企業間関係の構築につながっている。完璧な企業統治はなく、長所と短所が必ずある。企業統治はその国独自の社会資産であり、企業の国際競争力の源泉であるため転換するかをよく考える必要がある。(T・Y)