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日本企業の人事管理の経済合理性-人事の経済学(1)-


 経済社会において企業が生き残るためには、他の企業にはない商品やサービスを提供することが重要である。それを実現するには、他の企業とは違った価値の高い商品やサービスを生み出せる労働者が必要で、企業特殊技能を身に着けさせる必要がある。そして、この企業特殊技能は、年功賃金、終身雇用、企業別組合の相互補完性によって成り立っている。というのも、まず雇用主にとって企業特殊技能を身に着けさせるには長期の訓練が必要となり、長く働いてくれなければ訓練に投資することができない。また労働者にとっても、そのような特殊技能を身に着けてしまうと他に移ることが難しくなることとなり、長く働けるということが約束されていないと訓練を受けようと思わない。このように、両者にとって長く企業に在籍することはメリットとなっており終身雇用が実現し、そのインセンティブとなる年功賃金が成立するのである。また、そのような制度は企業が成長することによって、より確実に保障される。そのため、企業別組合は労働条件の改善だけでなく、企業経営についても意見できる機能を持っている。このように、終身雇用、年功賃金、企業別組合が相互補完的に機能して日本企業の高い競争力を実現してきた。